年越し1



 年末最後、ということで有、周利、智、ユージンの四人は除夜の鐘を聴きに来ていた。

 順調に鐘の音がなり年明けが迫るなか周利がふと鐘を見上げつつ言い出した。

「ユージン煩悩108つ以上ありそうだよな」

「鐘になって大勢に突かれてくればいいんだ」

 それに反応したのは智で、寒さに震えつつ大きく頷きびしっと指をさしつつ言い出した。

 ユージンは二人の言葉にひどいとか何とか思いつつ泣き真似をした。

「鐘の用途違うんじゃねぇ?」

 そんな顔をされても何ともいっさい顔を変えない周利と智は更に二人だけの会話を続ける。

「いや、鐘はその仕事を取られたら可哀想だ」

「あーそれもそうだな」

 会話の合間合間にひどい、ひどい、と合いの手が入るのも二人は一切無視していたのだが、智がはたと手を打って何やら思いついた。

「いいこと思いついた。そうだ、滝に打たれに行けばいいんだ」

 そうして山がある方角を指さすと、

「行って来い」

 と、とてもいい笑顔で言い放った。

 言われたユージンは今までにないほどに首を激しく振った。

「絶対にいーやーだ!」

「いい機会だ。行って来いよ人生変わるぞ……たぶん、きっと」

「やだやだやだ……何をにこにこ見てるんだ。助けてくれよぉ」

 周利までノってくると本気で泣きそうになりながらユージンはそこまで黙っていた有にすがりついた。

「んーこういうのいいなぁて、来年もこうしてみんなでいたいなぁて思ってた」

 その言葉に周利たち三人は呆気に取られたが、やがてみんなフっと笑った。

「確かに! ただ来年こそいじられませんように」

 そう言うユージンに周利と智は笑みの形を変え意地悪く言い出した。

「……そうだな来年もみんなでこうしてたいな。ユージン以外で」

「ユージン以外で」

「や  め  ろ!」 

 嫌がるユージンの様子に二人とも機嫌よく笑い出した。何だかんだと言ってこの状況を楽しんでいるのだ。

 こうして四人は楽しくもうわずかでくる年明けを待っていたのだった。




                              終 




年末前にほぼ会話の文が思いついたので書き留めてたら忙しくて忘れて今日になった……はは。いいよね!!<2014.01.02>


次は青嵐と剛志verです。→年越し2



 

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